【質問者】西良浩一 徳島大学医学部整形外科教授
【運動器に対する臨床・基礎研究が盛んに行われており,今後の適応疾患の拡大が期待されている】
ESWTは近年,運動器疾患に対する物理療法のひとつとして盛んに用いられるようになってきました。物理学的エネルギーの刺激により,細胞からの生物学的応答を引き出すmechanotransductionと呼ばれる機序により,組織変容を誘導することで除痛,組織再生,関節可動域・筋緊張改善効果など,様々な生体効果を引き出す治療法としてヨーロッパを拠点として世界的に普及しつつあります。
わが国では2012年より「難治性足底腱膜炎」に対する保険診療が可能となっていますが,国際衝撃波治療学会で推奨される適応疾患は,難治性腱症・腱付着部症全般と,疲労骨折,骨壊死など骨疾患,創傷遷延治癒,皮膚潰瘍といった運動器領域以外にも多岐にわたっています。当然ですが科学的根拠に基づく情報の蓄積が重要であり,運動器に関する基礎および臨床研究に基づく論文数も2000年頃から急速に増加し,現在では1050以上もの論文が出ています(2021年5月PubMed検索による)。
その中で,運動器への応用として特に注目されているものとして,以下のものが挙げられます。
残り587文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する