白癬は皮膚糸状菌によって生じる皮膚真菌症で,皮膚の角層,毛,爪に感染する。感染部位により手・足白癬,爪白癬,体部・股部白癬,頭部白癬,白癬性毛瘡にわけられる。
本症を疑った場合,誤診を避けるためにも可能な限り真菌検査を行う。真菌検査としては直接鏡検と真菌培養がある。実臨床では迅速診断ができる直接鏡検の優先度が高い。
白癬治療は手・足白癬,体部・股部白癬では外用抗真菌薬が中心となる。系統としてはイミダゾール系薬剤の種類が多く,ほかにモルホリン系,アリルアミン系,ベンジルアミン系,チオカルバミン酸系がある。爪白癬,頭部白癬では内服薬が基本となる。白癬に保険適用のある内服薬には現在,テルビナフィン,イトラコナゾール,ホスラブコナゾールの3剤があるが,ホスラブコナゾールは爪白癬に適用が限られる。
手・足白癬は,指(趾)間型,小水疱型(汗疱型),角化型,の3つの臨床型にわけられる。外用薬の推奨塗布期間は臨床型によって異なり,指(趾)間型では2カ月以上,小水疱型(汗疱型)では3カ月以上,角化型では6カ月以上が目安となる。内服薬の使用は,角化型など外用薬で難治な病型や,びらんや浸軟,接触皮膚炎,感染を合併するなど,外用が適さない場合に限られる1)。
体部・股部白癬治療の中心も外用薬であり,内服薬は一部に限られ,①外用薬を塗布しにくい部位(眼周囲,被髪部との境界部など)に発症した場合,②患者自身が塗布できない部位(高齢,手が届かないなど)に発症した場合,③白癬病巣が多発あるいは汎発化している場合,④再発を繰り返している場合,⑤毛に対する親和性が高いTrichophyton tonsurans感染症,などが対象となる1)。
頭部白癬は,化膿性炎症の強いケルスス禿瘡と,それ以外の頭部(浅在性)白癬に分類されるが,いずれの治療も内服薬が基本となる。例外的にT. tonsuransの格闘技集団や家族内での発症・感染拡大予防のために,外用薬または抗真菌薬入りシャンプー剤を用いることがあるが,この場合でも内服の併用が望ましいとされている1)。
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