厚生労働省は2日、「医療法人の事業展開等に関する検討会」に、地域における医療機関の新たな連携の仕組みとして、1つの医療法人が傘下に複数の医療法人や社会福祉法人を収めグループ化する「非営利ホールディング(HD)カンパニー型医療法人」のイメージを提示した。
国民会議報告書や産業競争力会議分科会の中間まとめを踏まえ、1月に安倍晋三首相が制度創設に向けた検討を同省に指示したもの。
同省案によると、HDグループには、地域の医療・介護提供に関する理念を定款で共有する複数の非営利法人が社員として参加。グループ内の法人間では医療職・事務職などのスタッフの共有や共同研修が行えるようにする。非営利法人間に限り、寄付や貸付、債務の保証・引受など資金融通を可能とし、HDグループから介護事業などを行う外部の営利企業への出資も容認する。
ただし、同制度のモデルとなった営利企業のHDカンパニーと同様に連結決算を導入できるかなど、グループ化による税制・会計上の利点については明示されておらず、同省担当官は「税制改正要望に向けて、何ができるのか財務省と話し合う」としている。
委員からは、法人格の異なる法人間での資金融通に関して「剰余金の配当に当たるのではないか」と非営利性の担保を疑問視する声のほか、制度創設自体を不要とする意見が相次いだ。