非代償性アルコール性肝硬変の腹水コントロールのために,しばしば穿刺排液を行っていた。某日,自宅トイレに座ったところ,誘因なく臍部から大量の腹水が流出しはじめ,しだいに息苦しくなってきたため,1時間後に当院救急外来にストレッチャー搬送された。受診時,臍部からの腹水流出は止まり,呼吸苦も消失していたが,帰宅しようと上半身を起こした際に呼吸苦が再度出現した。飲酒は40歳から焼酎1L/日。
体温37.7℃,脈拍119回/分,血圧113/77 mmHg。呼吸数22回/分,臥位SpO2は96%,坐位SpO2は86%。胸部聴診で異常所見なし。臍部は翻転し,びらんを伴い,周囲の発赤を認める(図1)。胸部X線写真を示す(図2)。