物価の上昇が社会的に問題化する中、日本医師会は4月26日の会見で、光熱費の変動が診療所にどのような影響を与えているかの実態調査の結果を発表した。2022年10月~12月の3カ月間の光熱費は前年同期に比べて無床診療所で32.2%増、有床診療所で46.3%増になっていることが明らかになった。
この調査は都道府県医師会で任意に抽出した診療所を対象に今年1月~3月に実施。電気、都市ガスの3カ月平均の料金について調査し、無床診療所400件、有床診療所61件から回答を得た。
その結果、1施設当たりの対前年増加額(1カ月平均)は無床診療所で約3万8312円(増加率は32.2%)、無床診療所で21万7999円(同46.3%)。光熱費の上昇が医療機関の経営にどの程度の影響があるかを訪ねたところ、「深刻な影響がある」が19.5%、「影響がある」が53.8%、「ほぼ影響はない」が21.3%、「影響はない」が3.3%―となり、7割を超える診療所に影響がある実態が示された。特に有床診療所では「深刻な影響がある」が44.3%、「影響がある」が45.9%と回答、厳しい状況にあることが浮き彫りになった。
会見で調査結果を発表した宮川政昭常任理事は、「地方交付金や国の激変緩和措置による支援では追いつかない。今後さらに機動的な支援や、公定価格で運営される医療機関への十分な配慮が必要」と指摘した。
物価高騰の影響については全国医学部長病院長会議も調査を実施、4月28日の会見で結果を公表した。全国の大学病院のうち回答のあった75病院の医療材料費等と光熱水費の合計額は、2021年度実績が4268億円であったのが、2023年度見込みは5055億円と2年間で787億円(18.4%)増加。1病院当たりでは10.5億円の負担増になるとしている。
会見の中で横手幸太郎会長(千葉大医学部附属病院長)は「地方創生臨時交付金による支援は全医療機関で26億円であり、焼け石に水。次の新型コロナの波がきても(大学病院は)対応できなくなる危険もある」として、物価高騰に関する大学病院への支援を強く求めた。