薬疹は「全身投与された薬剤またはその代謝産物の直接的・間接的作用により誘導される皮膚粘膜病変」と定義される1)。薬疹の皮膚症状は,播種状紅斑丘疹型,多形紅斑型,蕁麻疹型,苔癬型,光線過敏型,乾癬型,湿疹型,紫斑型,紅皮症型,固定薬疹型,急性汎発性発疹性膿疱症,スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrosis:TEN)など非常に多彩であるため2),薬剤使用中に生じた発疹をみた場合,常に薬疹の可能性を疑って診察を行うことが重要である。
薬疹の診断において薬剤摂取歴(薬剤の開始時期,皮疹の出現時期,過去の薬剤アレルギー歴など)の詳細な問診が最も重要である。また,薬疹の病型,特に播種状紅斑丘疹型の皮疹では,麻疹や風疹などのウイルス感染による中毒疹との鑑別が困難な場合もあるため,感染の罹患歴やワクチン歴などの問診や全身症状を合わせて診断を行う。感作期間は薬剤の種類や臨床型,投与の状況によって異なるが,抗菌薬などによる播種状紅斑丘疹型では5日~2週間前後,造影剤による遅延型薬疹では投与後1~2週間,降圧薬などでは数週間~数カ月,時に数年後に感作が成立して発症することもある3)。そのため,以前から内服している薬剤でも薬疹の原因薬となっている可能性を考慮して診察する必要がある。
原因薬剤を同定する検査として,蕁麻疹型薬疹などの即時型であればスキンプリックテストが,播種状紅斑丘疹型に代表される遅延型であれば薬剤リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)やパッチテストがまず行われる。上記の検査で診断がつかない場合には,重症薬疹でないことを条件に,再投与試験を行うことで原因薬剤を同定することが可能である。
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