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リンパ腫(小児)[私の治療]

No.5171 (2023年06月03日発行) P.51

深野玲司 (山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座准教授)

登録日: 2023-05-31

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  • リンパ腫はリンパ組織由来の悪性腫瘍であり,小児がん全体の7~10%を占める。病理組織学的にホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma:HL)と非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma:NHL)に大別され,わが国では約90%をNHLが占める。成人では様々な病理組織型のNHLがみられるが,小児のNHLでは約90%が成熟B細胞性リンパ腫(B-NHL),リンパ芽球性リンパ腫(LBL),未分化大細胞リンパ腫(ALCL),の3病型に分類される特徴を有する。

    ▶診断のポイント

    小児のリンパ腫は,生検などにより採取された腫瘍組織を用いて病理学的に診断を行う。病理学的診断に加えて,染色体検査などの細胞遺伝子学的検査によってリンパ腫に特異的な染色体・遺伝子異常を評価することが,診断や治療選択において非常に有用であるため,原則として開放生検で十分量の腫瘍組織を採取する。しかしながら,小児リンパ腫の生検では,採取できる腫瘍量が限られる場合がしばしばあり,生検に際しては実際に生検を行う外科医(生検部位によって耳鼻科医,皮膚科医など),麻酔科医,病理医と綿密な連携を行うことが望ましい。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    小児リンパ腫の治療戦略は多剤併用化学療法が中心となる。治療方針は病型により大きく異なるため,適切な診断を行うことがきわめて重要となる。小児リンパ腫の治療成績は向上しており,進行期においても70~90%の治癒率が期待される。小児リンパ腫の治療は高度な専門性を要するため,小児血液がん専門医に治療をゆだねるべきである。小児期に強力な化学療法や放射線照射を行うことで不妊を引き起こす可能性があるため,治療開始前に精子保存や卵子凍結保存などの可能性について検討する必要がある。

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