「脳性麻痺とは受胎から新生児(生後4週以内)までの間に生じた,脳の非進行性病変にもとづく永続的な,しかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害,また将来正常化するであろうと思われる運動発達遅滞は除外する」(厚生省研究班,1968年)の定義が一般的である。頻度は,1000の出生に対して2前後との報告が多い。最近の報告では1000の出生に対して2~2.5とみられている。
臨床的な診断であり,検査は診断の参考である。正常化していく運動の遅れもあり,過剰な検査や介入は避けながら,経時的に発達の評価を行っていく。
①問診,病歴の聴取
②診察
神経学的な評価,筋緊張や反射だけでなく,姿勢パターン,運動パターンを,子どもが泣かない状態でしっかり評価することが,特に,初期の診断で重要である。運動機能および知的機能を評価する。
③検査
血液および尿検査:筋ジストロフィー,代謝性疾患の鑑別のために生化学検査,血中および尿アミノ酸分析,尿中有機酸分析,尿中尿酸・クレアチニン比などの検査を行う。必要であれば染色体分析を実施し,遺伝子検査も考慮する。
脳画像検査:脳性麻痺の病因の推定と鑑別診断のためにCT,MRI検査を実施する(先天感染が疑われる場合はCT)。
その他:合併障害の診断のため必要に応じて脳波検査,視力および聴力検査を実施していく。
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