毛包炎は毛包入口部や漏斗部に限局する炎症性病変で浅在性膿皮症である。
癤は⼩児期~⻘壮年期に好発し,毛囊および毛囊周囲性の限局した急性炎症性病変で,膿瘍を形成する傾向が強く,炎症はしばしば皮下組織に及ぶ。癤腫症は毛包炎,癤が多発,追発する状態である。
癰は中年,高齢の男性に好発し,隣接した複数の毛包を侵す急性炎症性病変である。
毛包炎は毛孔一致性の丘疹や膿疱で,頸部,体幹,四肢に単発あるいは多発する。
癤は頸部,腋窩,顔面,臀部などに有痛性の毛孔一致性丘疹が急速に増大し,尖形の紅色腫脹となる。局所熱感・圧痛がある。
癰は複数の毛包から排膿がみられる。
毛包炎はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌か黄色ブドウ球菌,癤・廱は黄色ブドウ球菌が検出される。
毛包炎は,浅在性の場合は外用抗菌薬,多発または深在性の場合は内服抗菌薬を選択する。単発の癤や癰では膿瘍形成が強い。波動を触れる状態では,局所麻酔下に切開・排膿し,処置後に内服抗菌薬を処方する場合が多い。その他の癤,癰,癤腫症でも内服抗菌薬が適応になる。黄色ブドウ球菌をターゲットとしてβ-ラクタム系薬を選択する。治療への反応が悪い場合,再発性の場合は,市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)を考慮する。発赤やリンパ管炎の症状や全身症状が強い場合は点滴静注を検討する。ミノサイクリンやニューキノロン系薬の処方については年齢を考慮する。
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