厚生労働省は医療法人の経営情報の報告義務化の関連通知や事務連絡などを7月31日付で都道府県に送付した。制度の概要や報告手順などについて詳細に説明した内容となっており、所管の医療機関への周知を求めている。全世代社会保障法の施行に伴うもので、2023年8月1日以降に決算期を迎える法人から、病院、診療所ごとに経営情報の都道府県への報告が義務化される。
報告は、原則すべての医療法人が対象。租税特別措置法の診療報酬の所得計算の特例(いわゆる四段階税制)が適用されている法人は対象外だが、その場合は所定の様式(報告対象外医療法人報告書)を用いて報告対象外である旨を都道府県に報告する必要がある。
都道府県への報告期限は、毎年の会計年度終了後、原則3カ月以内(公認会計士等の監査を受ける法人は4カ月以内)。報告は「医療機関等情報支援システム」(G-MIS)から報告様式をダウンロードし、必要事項を記載した上でG-MISにアップロードする。あるいは、プリントアウトした報告様式を事業報告書等の届出と併せて郵送する。
報告事項は、(1)基本情報(名称、所在地など)、(2)収益及び費用の内容、(3)職員の職種別の給与総額とその人数。
報告項目の基準日や対象期間は、
①基本情報:会計年度の最終日
②役員・職員の人数、職種別の人数:会計年度内の12月31日を末日とする1年間にある7月1日、または会計年度内の7月1日
③主たる診療科:7月1日
④収益及び費用の内容:会計年度1年間
⑤職種別の給与総額:法人の会計年度内の12月31日を末日とする1年間、または会計年度1年間
などと定められている。なお、(3)は法人の事務負担の増加への配慮から、任意報告事項に位置づけられている。
また、初回報告(23年8月1日から24年7月31日までに終了する会計年度の報告)に限り、医業費用の内訳項目(医薬品費、給食委託費、減価償却費等)など、一部の項目の記載を省略できる経過措置が設けられている。
法人が報告した経営情報は、国がデータベース化して一元管理するとともに、福祉医療機構に委託して分析を実施し、医療政策の立案などに活用する。さらに国民への説明責任を果たすため、個別医療機関が特定できないように属性などでグルーピングした分析結果を公表する。