3年前から腹部膨満感,2年前から左背部の張りを自覚し,1年前からは腹部のグニュグニュ感が加わった。複数の医療機関で精査されたが原因不明,対症療法も無効であったため当科を紹介受診した。
左背部の張りは誰かをおんぶしているような感覚でチクチクし,同部の叩打で改善する。
既往歴に特記事項なし。喫煙は15歳から30本/日,機会飲酒。
10代からの易怒性,過食,浪費などのエピソードと,3年前からの抑うつ気分,体重減少(18kg/3年),睡眠障害,性欲低下,気力の減退がある。
診察時は笑顔がみられ,注意は散漫で多弁。身体所見では,左背部と左手首に叩打による色素沈着を認める(図1)。左背部に圧痛や感覚障害はない。
胸部CTでは叩打部の肋骨に骨折後の変化を認めた(図2)。