厚生労働省は9月21日、社会保障審議会介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会に、2021年度介護報酬改定の検証調査の速報値を報告した。介護老人保健施設と介護医療院に関する調査では、ポリファーマシー対策に積極的に取り組む施設が6割ある一方、「栄養マネジメント強化加算」の算定率は4割程度であることなどが明らかになった。
今回報告されたのは、23年度に実施された(1)介護サービス事業者における業務継続に向けた取組状況の把握及びICTの活用状況、(2)介護老人保健施設及び介護医療院におけるサービス提供実態等、(3)LIFE(科学的介護情報システム)の活用状況の把握及びADL維持等加算の拡充の影響―などに関する6つの調査研究事業の速報値。
このうち(2)の結果をみると、ポリファーマシー対策として、老健、介護医療院とも61.2%の施設が薬剤調整に積極的に取り組んでいた。未実施の理由は、老健では「薬剤調整や処方変更後の経過観察等の対応に多くの時間を要するため」(48.6%)、介護医療院では「ポリファーマシーに関する専門性を有する職員が不在または不足しているため」(49.5%)がそれぞれ最も多い。
21年度改定時に新設された「栄養マネジメント強化加算」の算定率(23年6月)は、老健が44.3%、介護医療院が38.4%。非算定施設の今後の意向では、「算定するつもりはあるができない」が両施設とも6割を超えた。算定していない理由はいずれの施設も「管理栄養士を増員しても採算が合わないため」が最多となったが、加算算定のために管理栄養士を採用した施設も老健では50.7%、介護医療院では28.3%あった。
老健の短期入所療養介護における「総合医学管理加算」の算定は、わずか3.4%にとどまった。加算の算定が少ない理由では、「治療目的の入所は対応できないため」(25.2%)が最も多く、受入体制が整っていないことをうかがわせた。
(4)では、21年4月から23年4月までのLIFE関連加算の算定状況を調べた。それによると23年4月時点で、施設サービスでは老健(77.7%)、通所・居住系サービスでは通所リハビリテーション(53.7%)が算定割合として最も高かった。ただし、通所・居住系サービスは施設サービスと比べると全体として算定割合が低い傾向にあった。