日本精神神経学会は11日、自動車を運転する能力が低下した患者の主治医となる精神科医に向けたガイドライン(GL)を同学会ホームページで公表した。
自動車運転死傷行為処罰法と改正道路交通法の施行を受けたもの。このうち処罰法では、統合失調症、てんかん、そううつ病など特定の疾患名に該当する患者の自動車運転を制限する規定が新設。改正道交法では、医師が運転に支障を及ぼす危険性がある者の診断結果を都道府県の公安委員会に任意で届ける制度が盛り込まれた。
GLでは、「患者の運転能力の低下や喪失は症状の増悪等を含む具体的な健康状態によって判断されるべきであり、診断名・病名によって一律に判断されてはならない」とした上で、主治医が不必要な運転の制限を行わないよう留意すべきとしている。
患者や家族へのアドバイスでは、運転に伴う危険に関して「率直に話し合うことが最も重要」とし、運転継続が難しい症状がある場合には、「家族に危険性を伝えるのを躊躇すべきではない」と明示。公安委員会への届出については、過去の重大事故や症状の増悪、医師が運転中止を勧めても従わないなどの事由を考慮すべきとした。