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小児泌尿器科におけるロボット支援手術はどこまで進歩してきたか?

No.5196 (2023年11月25日発行) P.56

坂井清英 (宮城県立こども病院泌尿器科科長)

林 祐太郎 (名古屋市立大学大学院医学研究科 小児泌尿器科学分野教授)

登録日: 2023-11-26

最終更新日: 2023-11-24

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  • 近年,泌尿器科領域を中心にda VinciTMやhinotoriTMを用いたロボット支援手術が進歩してきました。体格の小さい小児の泌尿器科疾患に対して,どこまで応用されるようになってきたのでしょうか。名古屋市立大学・林 祐太郎先生に解説をお願いします。

    【質問者】

    坂井清英 宮城県立こども病院泌尿器科科長


    【回答】

    【先天性水腎症と膀胱尿管逆流へのロボット支援手術の普及が見込まれる】

    小児泌尿器科は先天性泌尿器科疾患を患う新生児・乳幼児から思春期,成人期までの診断および治療を担当しています。特に腎・尿路・生殖器の形成・再建の手術が中心です。以前は開放手術が中心でしたが,20世紀終盤になって内視鏡を用いた低侵襲手術が普及したため,成人の泌尿器科疾患と同様に,様々な小児泌尿器科疾患が腹腔鏡手術で行われるようになりました。

    20世紀末に米国で開発されたロボット支援手術システム(da VinciTM)は日本でも導入され,2012年に前立腺癌手術に保険収載されると,各科の悪性腫瘍の手術に適応となり,全国に広がりました。

    ロボット支援手術は,①臓器と周辺組織の位置関係を正確に把握できる3D画像を見ながら手術できる,②鉗子をどの方向にも動かせる(ヒトの関節の動きを超える可動域を有する),③術者の利き手でないほうの手での縫合操作が容易にできる,④モーションスケール機能(大きな動きで細かな操作:術者が手を3cm動かしても鉗子の動きは1cmにでき,3倍精密な動きを鉗子に伝達できる)を有する,などの特徴があります。小さな躯幹で,脆弱な成熟過程の臓器を有する小児にとっては成人以上に有用と思われます。

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