筋線維の壊死と変性を主な病変とし,臨床的には進行性の筋力低下が生じる遺伝性筋疾患の総称である。心肺不全に対する治療や集学的ケアの進歩により,生命予後が延長している。わが国の指定難病(告示番号113)である1)。
筋線維の壊死と変性による進行性の筋力低下に由来する運動障害が,臨床症状の基本である。脊柱側弯や関節拘縮をきたすことが多い。進行期の心肺不全や嚥下障害は,しばしば生命予後を左右する。
血清クレアチンキナーゼが高値となるが,程度は病型による。針筋電図で筋原性変化を認めるほか,筋強直性ジストロフィーのミオトニー放電は特徴的である。筋病理所見でジストロフィー性変化(壊死線維,再生線維,間質増生等)を認めるほか,免疫染色が病型診断に有用である。遺伝学的検査が健康保険の適用となる病型が増えた。
病型診断に基づき,集学的かつ予見的に対応することが肝要であり,定期的病状評価が重要である。
運動障害に対し,運動機能の維持と活用,骨格変形と関節拘縮の予防が主眼となる。
内臓障害については呼吸障害,心筋障害,嚥下障害への対策が重要である。専門医を核とした多職種・多施設の連携による集学的対応が望まれる。
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