厚生労働省は12月4日の社会保障審議会介護給付費分科会に、介護医療院と、「療養型」や「その他型」の介護老人保健施設について、一定の所得がある多床室の入所者から室料負担を求める案を提示した。これらの施設は、室料負担導入済みの介護老人福祉施設と利用実態に差がないと判断したためだが、委員の賛否は分かれ、意見集約には至っていない。
特養の多床室は、死亡退所が多く、事実上の生活の場として選択されている実態があったため、在宅療養者との公平性も考慮し、2015年度に室料負担が導入された。厚労省は介護医療院と、「療養型」(介護療養病床からの転換型)と在宅復帰・在宅療養支援機能に関する算定要件を満たさない「その他型」の介護老人保健施設も、特養と同様の利用実態があることを示した上で、特養に揃えて一定の所得がある多床室の入所者から室料負担を求めることを提案した。
その場合、①低所得者(利用者負担が第1~3段階)は補足給付の仕組みを活用して利用者負担を増加させない、②毎月負担が変わる事態を避けるため、老健については前期介護保険事業計画期間の最後の1年間で最も多かった類型が「療養型」または「その他型」だった場合に、その後の3年間室料負担を求める―との対応を併せて講じることも提案。室料負担額は、特養(1.5万円程度/月)よりも居室面積が狭いことを勘案して設定する考えを示した。
このほか、補足給付の基準費用額について、近年の光熱水費の高騰を踏まえて引き上げを行うことも提案。「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「通所介護」を組み合わせた複合型サービス(地域密着型サービス)について、次期改定での創設を見送り、継続審議とすることを提案した。分科会のこれまでの審議で反対意見が多く出たことや、コロナ禍で十分な実証調査が行えなかったことなどを考慮した。いずれの案についても反対はなく、了承された。