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圧迫性/絞扼性ニューロパチー(手根管症候群などの単ニューロパチー)[私の治療]

No.5200 (2023年12月23日発行) P.47

叶内 匡 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻全人的医療開発学講座臨床検査医学分野講師)

登録日: 2023-12-24

最終更新日: 2023-12-19

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  • 局所的な圧迫/絞扼による末梢神経障害の総称。単ニューロパチーとしては最も頻度が高い。多くは神経走行の途中にいくつかある圧迫/絞扼を生じやすい解剖学的構造の箇所(common entrapment site)で障害され,手根管症候群,肘部管症候群,土曜の夜の麻痺(橈骨神経麻痺),腓骨頭部での圧迫性腓骨神経麻痺などがある。特発性が多いが,そのほかに周辺組織の炎症やアミロイド沈着,腫瘍,ガングリオン,骨折などの局所的要因,糖尿病や甲状腺疾患,妊娠など全身性の要因がある。

    ▶診断のポイント

    単ニューロパチーであること,それが局所的圧迫/絞扼によるものであること,の2つがポイントになる。

    ①症状は障害神経の支配領域で圧迫/絞扼部以遠に限局。たとえば手根管症候群では,しびれや痛みが正中神経領域の母指,示指,中指と環指の橈側(ring finger splitting)にあり,重度の場合は母指球が萎縮して母指の運動やつまみ動作がしづらくなる。

    ②局所的圧迫/絞扼を示唆するもの。
    現病歴:障害神経を圧迫するようなエピソード(特に急性発症の橈骨神経麻痺や腓骨神経麻痺など)の有無の確認
    臨床徴候:Tinel徴候(圧迫/絞扼部位のタップによるその神経領域への放散痛),手根管症候群では加えてPhalen徴候(1分間の手関節屈曲による異常感覚の増強),逆Phalen徴候(手関節伸展による同様の徴候)の有無の確認
    検査:神経伝導検査で圧迫/絞扼部位に局在する伝導遅延や伝導ブロック,画像検査(エコー・MRI)による圧迫/絞扼部前後の神経腫大や占拠性病変の有無などの確認

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