頭部や顔面に好発する慢性的な皮膚炎で,ありふれた皮膚疾患のひとつである。いわゆる「フケ症」もこの疾患と同一スペクトラム上にあるものと考えてよい。黄白色調の鱗屑を伴う紅斑を呈し,瘙痒を伴うことがある。病態としては,皮脂中のトリグリセリドがMalasseziaなどの皮膚常在真菌により分解され,その結果生じた遊離脂肪酸が皮膚炎の発症に関わっていると考えられている1)。
頭皮や,顔面の眉毛・鼻周囲などのいわゆる脂漏部位に,瘙痒を伴う鱗屑性紅斑を認め,軽快・再発を繰り返す。乳児型と成人型がある。
年齢を問わず,皮脂の増加が病態に関与しているため,適切なスキンケアを行うことが前提となる。治療は,外用薬による局所療法が中心で,抗真菌薬と副腎皮質ステロイドが用いられることが多い。ステロイドのランクはミディアム(Ⅳ群)以下とし,塗布回数も1日2回までとするのが望ましい。外用薬の基材は軟膏・クリーム・ローションのいずれでも問題ないが,頭皮など有毛部にはローションなど液状のものが塗布しやすい。乳児型は,児の成長とともに軽快することが期待されるが,成人型は慢性に軽快・再燃を繰り返し,治療期間が数年にわたることがめずらしくない。
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