▶高齢者と成人では骨盤骨折の受傷に大きな違いがあります。成人の骨盤骨折は高エネルギー外傷が多いのに対して,高齢者は軽微な外傷(尻餅をつくなど)で受傷し,恥坐骨骨折や仙骨骨折をきたします。高齢者の骨盤骨折は,骨粗鬆症を基礎疾患とした脆弱性骨折に分類されます。
▶最初から「骨盤が痛い」という主訴で来院する方は全体の5%と言われ,ほとんどが股関節痛や臀部痛を主訴に来院されます。「転倒して股関節周囲(臀部)の痛みで動けない(高齢者)」では,大腿骨近位部骨折と脊椎圧迫骨折とともに脆弱性骨盤骨折を忘れずに鑑別に挙げましょう。