急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)は,前駆B細胞由来のB-ALLと前駆T細胞由来のT-ALLに分類され,ともにリンパ球前駆細胞が分化の停止,異常増殖をきたす遺伝子変異を獲得して生じる腫瘍性疾患である。2021年の日本血液学会疾患登録ではB-ALLは1111人(15歳未満404人),T-ALLは216人(15歳未満58人)の新規発症登録がなされている。
初発症状としては,正常造血抑制によって起こる発熱,貧血,出血傾向などと,白血病細胞の正常臓器への浸潤によって起こるリンパ節腫大などが多く認められる。
芽球を含んだ白血球数増多,貧血,血小板減少を認める。腫瘍崩壊による凝固障害やLD値・尿酸値高値を認めることが多い。
骨髄像では,ミエロペルオキシダーゼ陰性(<3%)の芽球増加を認める。ほかにflow cytometry(FCM)検査,染色体分析,白血病キメラ遺伝子解析を行い,診断,治療方針の決定や予後予測に用いる。
ALLに対する標準療法は確立していないため,臨床試験による治療が望ましい。
AYA世代に対しては,小児用治療を行うことが推奨される。小児用治療をAYA/成人を対象として検証した臨床試験では,成人用に改変して用いる小児型プロトコールと,そのまま用いる完全小児プロトコールの2パターンがある。多くの臨床試験がステロイド前治療の反応性,高リスク遺伝子の有無,測定可能(微小残存)病変(MRD)の有無などで治療層別化を行っており,高リスク遺伝子保有,あるいはMRD残存の場合に,治療の一環として同種造血幹細胞移植(SCT)を施行する。
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