悪性黒色腫はメラノサイトが悪性化した腫瘍である。日本人では10万人に2人程度の頻度で,欧米と比較すると稀である。皮膚の悪性黒色腫は増加傾向にある。
一般的に非対称,境界不明瞭,多彩な色調,直径6mm以上,急速な増大などが臨床的な診断のポイントである。ダーモスコピーは大変有用である。臨床やダーモスコピーで診断できない場合は,生検で確定診断する。
悪性黒色腫には病変の厚さ,潰瘍の有無,所属リンパ節・遠隔転移の有無などの程度により病期を決定して,治療法を検討する。
所属リンパ節転移が明らかでなく,遠隔転移がない場合は原発巣切除+センチネルリンパ節生検を施行する。原発巣はその厚さによって,4~20mm離して切除する。BRAF遺伝子変異を検査し,病期に応じて術後補助療法を検討する。
所属リンパ節転移が明らかな場合,原発巣切除+リンパ節郭清と術後補助療法を検討する。
手術不能または遠隔転移がある場合は,免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬(BRAF阻害薬+MEK阻害薬)を主体とし,外科治療,放射線治療を加えた集学的治療を検討する。脳転移に対する定位放射線治療(ガンマナイフやサイバーナイフなど)は効果的である。上記全身療法で進行した場合,performance status が良ければ,がん遺伝子パネル検査の実施を検討する1)。
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