株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

類天疱瘡[私の治療]

No.5216 (2024年04月13日発行) P.44

岩田浩明 (岐阜大学大学院医学系研究科皮膚科学教室教授)

登録日: 2024-04-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 表皮真皮境界部分の構成蛋白(BP180,BP230,Ⅶ型コラーゲンなど)に対する自己抗体により生じる自己免疫性表皮下水疱症(水疱性類天疱瘡,粘膜類天疱瘡,後天性表皮水疱症など)の総称である。最も頻度の高い水疱性類天疱瘡は高齢者に好発し,全身皮膚および口腔粘膜などに水疱やびらんが多発,瘙痒の強い紅斑を伴うことを特徴とする。

    ▶診断のポイント

    臨床的な水疱・びらんから本疾患を疑ったときには,①病理組織学的検査による表皮下水疱の証明,②水疱周辺皮膚からの蛍光抗体直接法による自己抗体(主にIgG)と補体の基底膜部への沈着,③血清中の自己抗体の証明(主にCLEIA法)により総合的に判断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    早期診断とbullous pemphigoid disease area index(BPDAI)スコアによる重症度判定に基づいた早期の適切な治療介入が重要である。基本は診療ガイドラインに沿って考える1)

    軽症例では,ステロイド外用療法を中心に,内服薬の併用を検討する。中等症以上では,ステロイド内服(0.5~1.0mg/kg/日)治療が基本となる。ステロイド抵抗性の症例では,免疫抑制薬内服,大量ガンマグロブリン療法,血漿交換療法などの併用を考慮する。

    長期間のステロイド内服は骨粗鬆症や糖尿病など全身性の副作用のリスクが高くなるため,適切なタイミングで減量を進めることが重要である。高齢者に好発する疾患のため,基礎疾患や全身状態に配慮した治療選択肢を考慮することが必要である。

    残り1,368文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top