質問
外来に通院できず,訪問診療を紹介する患者さんが少しずつ増えてきたように感じます。自院で訪問診療を行うことも考えたほうがよいでしょうか?
回答
今後,外来患者数は減少が見込まれていることを考えると,訪問診療を貴院で行うことも検討してよいと思います。
訪問診療をやるからといって,必ずしも,看取りまで診療を続けることや,24時間365日対応することができなければならない,というわけではありません。貴院で対応できる病態の患者さんに,可能な範囲・期間で対応され,対応しきれなくなれば,他院に紹介させて頂くこともできます。
年々,外来通院ができなくなった,という患者さんは増えていませんでしょうか? 厚生労働省は,「外来患者数は,既に減少局面にある医療圏が多い」「在宅患者数は,多くの地域で今後増加する」1)という見通しを示しています。
さて,長く貴院に通院されていた患者さんから,「通院が難しくなってきた」とご相談を受けたとき,どうされるでしょうか。近くに訪問診療を行う医療機関がある場合,そちらに紹介するのも一手かもしれません。ですが,外来患者数の減少が見込まれるため,訪問診療を導入する患者さんを都度紹介していては,患者減,収入減が続いてしまいます。そこで,数人だけでも貴院で訪問診療を行うことを検討してみてはどうでしょうか。患者さんにとっては,引き続き馴染みの先生に診察をしてもらえるため,安心してもらえるでしょう。貴院にとっても,収入増につながる可能性があり,メリットと言えます。患者さんのご自宅に月1回訪問に伺う場合,請求点数は3000点ほどになり,外来の点数に比べると5~6倍ほどになるためです。
今回は,どのような患者さんを対象とすることが,外来中心の開業医の先生方にとって「始めやすい訪問診療」なのか,をご紹介します。
在宅療養支援診療所ではない診療所による訪問診療の診療点数は,居宅患者に月1回訪問する場合,3000点ほどになります。内科の外来に定期通院される患者さんの診療点数が1回500点ほどであることから,単価は約6倍です。通院できなくなった患者さんに自院で訪問診療を提供できると増収すると言えます。