成人では,免疫能の低下した高齢者や関節リウマチ患者に合併することが多い。関節穿刺や関節内注射など医原性に発症することもある。また小児では,上気道感染,敗血症など一次感染巣から血行性に細菌が運ばれて,骨幹端が関節内に存在する股関節,膝関節,肘関節など,骨幹端部に発症した骨髄炎から関節腔内に細菌が侵入して発症することが多い1)。診断・治療が遅延すると関節破壊などの重大な合併症をきたすので,早期診断・早期治療が原則である。
全身症状として発熱が生じ,局所では関節の腫脹,発赤,熱感が認められ,強い疼痛を伴う。血液検査による炎症反応の高値を確認する。培養検査による細菌の同定が決め手であるが,培養が陰性のこともあり,臨床症状から疑うこともある。小児ではアトピー性皮膚炎を伴っていることもあり,皮膚疾患の問診は重要である。
臨床症状や画像所見から化膿性関節炎を疑ったら,培養検査による細菌の同定が最も重要である。急性期であれば,血液培養検査と超音波エコーやMRIにより関節内液体貯留が確認でき次第,関節穿刺を行って,関節液の性状のチェック,塗抹染色,培養同定,感受性検査を実施する。
診断が確定すれば,緊急で切開排膿を行い,関節内の減圧と洗浄,炎症性滑膜の可及的搔爬を行う。必ずドレナージを行い,局所安静のためにギプスシーネ固定を行うこともある。最近では,関節鏡視下による低侵襲での排膿,搔爬,ドレーン留置が可能になってきている。
感受性検査の結果,起炎菌が同定でき,抗菌薬の感受性結果が判明したら,速やかに抗菌薬の静脈内投与を開始する。起炎菌が同定できない場合には,最も頻度の高いグラム陽性球菌に感受性の高い抗菌薬を投与する。
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