MSDのカイル・タトル社長(写真)は5月24日の記者会見で、厚生科学審議会部会でヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン男性接種の定期接種化が見送られたことについて「非常に残念」と述べ、医学会と協力しながら接種率向上に向けた活動を継続していく考えを示した。
タトル社長は日本の子宮頸がんの罹患率の高さ、15歳時点でのHPVワクチン接種率の低さを指摘し、「日本以外のG7を含む60以上の国で男女両方の定期接種が公費助成となっている。男性の定期接種化の推進は緊急に取り組むべき課題」と訴えた。2025年3月末で1997~2006年度生まれの女性を対象としたキャッチアップ接種が終了することについても「接種率向上という目的と矛盾している」と懸念を示し、「本当に接種率を上げていくためには、政府の強いリーダーシップの下、国や自治体をはじめ多くのステークホルダーが一丸となって取り組む必要がある」と強調した。
会見では同社の白沢博満グローバル研究開発本部長が開発パイプラインを説明。3月に米国で承認された肺動脈性肺高血圧治療薬「ソタテルセプト」と、成人に特化した肺炎球菌結合型ワクチン「V116」の日本での承認申請に向けた開発の加速に意欲を見せた。
日本で承認申請中のMSDの新薬
プレバイミス(臓器移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制)、キイトルーダ(HER2陰性の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんなど)、ラゲブリオ(SARS-CoV-2による感染症錠剤の剤形追加)