総務省消防庁の調査で、救急搬送時間の延伸の要因に、独居・施設入居の高齢者、精神疾患患者、酩酊者の増加を挙げる回答が約7割に上った。9日の「救急業務のあり方に関する検討会」で示されたもの。
調査は10~11月に全国751の消防本部に実施。救急車の現場到着から搬送先選定、病院収容までの各段階に要した時間の延伸要因を尋ねた(複数回答)。
その結果、搬送先選定の段階では、「高齢者・精神疾患の患者・酩酊者等の増加」を挙げる回答が66. 8%と最も多く、「医療機関の受入れ判断の遅延」(46.4%)、「医療機関の専門分化により幅広く受入れが行われなくなった」(45.6%)などが続いた。
搬送困難に陥りやすい傷病者には福祉や在宅医療の対象者が多いことから、同庁は消防が医療機関だけでなく福祉・警察等多職種と情報共有する必要性を指摘。消防を含む地域全体の支援で救急要請に至らないよう努力することを前提に、医療機関が速やかに受入れを行うルール作りも課題とした。