好酸球性膿疱性毛包炎(eosinophilic pustular folliculitis:EPF)は太藤重夫らにより,顔面を中心とする毛包一致性の多発性丘疹・膿疱が癒合性局面を形成する疾患として提唱された。
皮疹は毛孔一致性の瘙痒性紅色丘疹,無菌性膿疱が環状または局面状に配列し,遠心性に拡大する。中心部は鱗屑と色素沈着を残して消退する。好発部位は,顔面,体幹,四肢,掌蹠である。掌蹠に出現した場合は掌蹠膿疱症に類似する。
EPFには,①古典型,②免疫抑制関連型,③乳児関連型,がある。古典型は日本をはじめ東アジアに多く,好発年齢は20~40歳代である。
EPFは全身免疫のバランスがタイプ2免疫へ不均衡化し(Th2優位),IL-4・IL-5などのタイプ2サイトカインにより好酸球の増多および機能促進を示す 。実際,患者末梢血Th2細胞のIL-5が高発現し,治療により低下する。全身的な免疫変調に加え,皮膚局所で毛包や付属器周囲の好酸球の浸潤,毛包壁の破壊がみられる。病変部の炎症細胞はプロスタグランジン(PG)D合成酵素を発現する。これにより産生されたPGD2あるいはその代謝産物は脂腺細胞に働きかけ,好酸球ケモカインを産生させる。
インドメタシンはシクロオキシゲナーゼを抑えることによってPGの産生を抑制する。PGD2による好酸球ケモカインの産生増強を抑制するために,インドメタシンを投与することが最も重要な治療となる。特に古典型に効果があり,84%の症例に効果的である。女性患者のほうがこの治療により反応する傾向がある。加えて,インドメタシンは好酸球やTh2細胞において,PGD2の受容体の発現を抑制する。
シクロスポリンはサイトカイン産生を非選択的に抑制するが,EPFではIL-4などの産生を抑えることによって効果を発揮する。ジアフェニルスルホン(DDS)は好酸球の活性酸素産生を抑制するため治療に使われる。その他,抗炎症効果を期待して,柴苓湯,ミノマイシンあるいはロキシスロマイシンの内服も行われる。外用療法としては,ステロイド外用薬,タクロリムス外用薬が使用される。
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