株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

頸椎症性脊髄症・頸椎症性神経根症[私の治療]

No.5235 (2024年08月24日発行) P.51

根尾昌志 (大阪医科薬科大学名誉教授)

登録日: 2024-08-25

最終更新日: 2024-08-20

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 頸椎症とは頸椎の加齢変化であるが,それに伴って脊髄や神経根が圧迫され神経症状を呈したものが,それぞれ頸椎症性脊髄症,頸椎症性神経根症である。両者が合併することも多い。
    加齢変化の進行に伴い,基本的には神経の圧迫は徐々に進行し,症状も増悪していく。中枢神経である脊髄の圧迫と末梢神経である神経根の圧迫とでは,症状も治療法も大きく異なる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    頸椎症性脊髄症では,典型的には横断性の脊髄症状,つまり四肢のしびれ,両手巧緻運動障害,歩行障害,排尿障害などが出現する。進行すれば最終的には四肢麻痺となる。

    頸椎症性神経根症では,片側上肢の疼痛,しびれが主訴となり,圧迫された神経根の支配領域に一致した感覚障害,筋力低下などを認める。

    【検査所見】

    頸椎の単純MRIで症状に一致した脊髄や神経根の圧迫を認める。脊髄症では髄内輝度変化を認めることがあり,脊髄の障害がより重症である所見とされる。

    MRIで一見圧迫がないようにみえても,頸椎の不安定性がある場合には脊髄や神経根が動的に圧迫,刺激されている可能性があり,MRIのみでは責任病巣を診断できないことに注意が必要である。動的因子の評価には,まず頸椎X線機能撮影(前屈および後屈の側面像)が必須である。場合によっては脊髄造影を行って精査する。

    反対にMRIで神経の圧迫がかなり強いようにみえても,臨床症状を呈さないことも多い。正確な診断のためには,あくまでも患者の主訴が理学所見や画像所見と一致することが重要である。

    残り1,224文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top