ハンチントン病は,4p16.3上にあるhuntingtin(HTT)遺伝子内翻訳領域に存在するCAG繰り返し配列が異常伸長して発症する,いわゆるポリグルタミン病である。顕性遺伝性疾患であり,父親から遺伝した場合には,繰り返し配列回数が増大する傾向にある(世代間促進現象)。繰り返し配列回数が多いほど若年で発症し,重症度も高い。主たる運動症状は舞踏運動と称される不随意運動で精神症状,認知機能障害も発症する。病態修飾療法はまだ開発されておらず,対症療法が主となる。
病歴と家族歴の聴取,神経症状の診察,認知機能や心理状態の評価が重要である。脳画像で尾状核頭の萎縮がみられる。2020年から保険適用となった遺伝学的検査で, HTT遺伝子CAG繰り返し配列の異常伸長が認められれば確定診断となる。遺伝学的検査を施行する前に,血縁者に影響する検査であることを十分に説明した上で,同意のもと検査を実施することを心がける。
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