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心房粗動[私の治療]

No.5240 (2024年09月28日発行) P.44

大和田真玄 (岩手医科大学内科学講座循環器内科分野講師)

登録日: 2024-10-01

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  • 心電図において,心房拍数240〜340回/分の規則的な心房波形(粗動波)を呈するマクロリエントリー性頻拍である。不規則な心房波形の心房細動と区別されるが,心房細動同様に血栓塞栓症や心不全などの合併症に留意する必要がある。

    ▶診断のポイント

    心電図で規則的な粗動波を確認することで診断される。房室伝導比が不定の場合,心室興奮が不規則となるため,心房細動との鑑別が難しいこともある。

    Ⅱ,Ⅲ,aVfで陰性かつV1で陽性の鋸歯状波を呈する通常型心房粗動は,三尖弁輪を反時計回転するリエントリー回路となる。それ以外の心電図所見を呈するものは非通常型心房粗動と呼ばれる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    血栓塞栓症リスクは心房細動例と同等とされており,CHADS2スコアに基づいた抗凝固療法が必要である。直接経口抗凝固薬(DOAC)は心房粗動には保険適用されないが,心房細動の合併がある場合は使用可能となる。その際はDOACの使用が推奨されている。

    急性期で,血行動態の破綻がみられる場合は,同期下カルディオバージョンを優先する。米国のガイドラインでは,心拍数コントロールを目的にアミオダロンの静注薬が記載されているが,わが国では同使用法の保険適用がない。血行動態が安定している場合には,Ca拮抗薬,β遮断薬,ジギタリスのいずれかで心拍数をコントロールする。

    慢性期に同期下カルディオバージョンを行う際は,処置前3週間の抗凝固療法か,経食道心エコーによる心内血栓の除外が必要である。洞調律維持を目的とする治療は,第一選択がカテーテルアブレーション(CA),第二選択が薬物治療となる。器質的心疾患のある場合はⅢ群抗不整脈薬(わが国では保険適用なし),器質的心疾患のない場合はⅠ群抗不整脈薬を用いる。心拍数コントロールを目的とする場合は,β遮断薬,Ca拮抗薬の内服を用いる。

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