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基本報酬が軒並み引下げ - 2015年度介護報酬改定案が了承 [介護給付費分科会]

No.4738 (2015年02月14日発行) P.7

登録日: 2015-02-14

最終更新日: 2016-11-18

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【概要】2015年度介護報酬改定で各サービスの具体的な点数が明らかになった。特養やデイサービスをはじめ、ほとんどのサービスで基本報酬が引き下げられた。


社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋座長)は6日、厚生労働省が示した2015年度介護報酬改定案を了承し、同審議会の西村周三会長に報告した。西村会長は近く塩崎恭久厚労相に答申する。
2015年度介護報酬改定は、全体で2.27%の大幅な引下げと9年ぶりのマイナス改定になった。内訳は在宅系サービスがマイナス1.42%、施設系サービスがマイナス0.85%。介護従事者の処遇改善に1.65%が分配されるため、事業者への実質的な影響は2.27%よりもさらに大きい。
改定の基本的な視点は、①中重度の要介護者や認知症高齢者への対応のさらなる強化、②介護人材確保対策の推進、③サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築─の3点。
①については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの包括報酬に「総合マネジメント体制強化加算」を新設。老健の在宅復帰支援に関する点数を引き上げた。②については、介護従事者の給与が1人当たり月平均1万2000円上がるよう、介護職員処遇改善加算を拡充する。③については、内部留保が問題視された特養をはじめ、ほとんどのサービスで基本報酬が減額された。中でも減少幅が大きかった小規模型のデイサービスは約1割引き下げられた。

●療養病床に2つの強化型
介護療養病床には新たに「療養機能強化型」を設け、中重度者や認知症高齢者への対応を評価する。新設されるのは要件が厳しく報酬が高い「強化型A」と、強化型Aと通常の間に当たる「強化型B」の2種類。強化型Aの主な要件は病院の場合、直近3カ月間の入院患者のうち①重篤な身体疾患の患者と身体疾患合併の認知症高齢者の割合が50%以上、②喀痰吸引・経管栄養・インスリン注射が行われた割合が50%以上、③回復の見込みがないと診断され、計画に基づき患者・家族への説明・同意の下、ターミナルケアが行われた者の割合が10%以上─の3点だ。
現在の介護療養病床から強化型Aに移行すれば基本報酬はわずかな引下げにとどまるが、通常の介護療養病床のままでは、さらに大きく減少する仕組みだ。他のサービスでも、基本報酬の減少を補うには中重度者や認知症高齢者に対応して加算などをとる必要があり、事業者には経営努力が求められる。

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