株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

脱毛症(円形脱毛症,男性型脱毛症)[私の治療]

No.5241 (2024年10月05日発行) P.37

下村 裕 (山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座教授)

登録日: 2024-10-04

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 円形脱毛症は,成長期毛包の毛球部が炎症によって一過性に破壊されることで脱毛をきたす自己免疫疾患である。男性型脱毛症は,思春期以降に活性型男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の作用で毛周期が短縮し,毛包がミニチュア化するという特徴がある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    円形脱毛症では,その名の通り頭部に円形の脱毛斑が出現する(通常型)が,頭部の生え際に沿って脱毛する場合(蛇行型)や,脱毛が頭部全体(全頭型)または全身に及ぶ(汎発型)こともある。男性型脱毛症では,前頭部の生え際と頭頂部を主体に疎毛を呈する。

    【検査所見】

    ダーモスコピーで病変部皮膚を観察すると,円形脱毛症の急性期(脱毛期)では感嘆符毛,断裂毛や黒点などが観察されるが,固定期(自然な発毛を認めない状態が慢性的に続く時期)では黄色点が主体になる。一方,男性型脱毛症では硬毛の軟毛化が顕著に認められる。また,円形脱毛症の急性期では,ヘアプルテストを行うと,根元が細く変形した成長期毛が容易に抜去される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    円形脱毛症,男性型脱毛症ともに,日本皮膚科学会の診療ガイドラインを参考にしている1)2)。ただし,円形脱毛症では近年著しく治療法が進歩しており,さらに各患者の重症度,病期と年齢に応じて柔軟に治療方針を決定する必要性がある。

    【治療上の一般的注意&禁忌】

    〈注意〉

    円形脱毛症に対する経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は,本疾患に関する十分な知識と治療経験を有する皮膚科専門医が処方することが望ましい。男性型脱毛症に関しては,ほぼすべての治療法が保険適用外であることに留意する。

    〈禁忌〉

    男性型脱毛症に対するミノキシジルとスピロノラクトンによる内服療法は,わが国における有効性・安全性が確立されていないので行うべきではない。

    WEBコンテンツ「自己免疫疾患としての円形脱毛症〜発症機序と治療のup date」

    残り1,345文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top