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人事・労務の悩み(報酬編)[クリニック経営戦略「お悩み相談室」(第8回)]

No.5247 (2024年11月16日発行) P.50

監修: 小松大介 (株式会社メディヴァ・コンサルティング事業部長)

執筆: 越路公雄 (株式会社メディヴァ・コンサルティング事業部)

登録日: 2024-11-13

最終更新日: 2024-11-12

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質問
2024年の診療報酬改定で「ベースアップ評価料」が登場し,理解するのに一苦労でした。振り返ってみると,給与や報酬について体系的に考える機会がこれまでなかったと思います。改めて,どのような考え方をすればいいのか,参考にするモデルがあるのかなどを知りたいです。

回答
今回は給与・報酬の考え方についての疑問を頂きました。確かに,個人開業からスタートした診療所では,元来個々のスタッフの定期昇給はあるものの,「ベア(ベースアップ)」について理解したり,手当についての考え方に触れたりする機会はそれほど多くないのが現実だと思います。報酬モデルについても,どのようなケースにも当てはまるベストな形があるというわけではないのですが,基本的な考え方や事例について説明します。

1. ベアと昇給の違い

ベースアップ評価料では「ベア」という言葉が出てきました。ベアの考え方自体は「職員個々の区別なく一律の賃上げ」ということであり,一般産業の業界団体や大企業にはなじみのある概念ですが,クリニックにはあまりなじみがないものです。一方で「昇給」は,職員一律ではなく個々の評価や勤続年数などに応じて賃上げ額(率)に差が生じるものです。また基本給だけでなく後述する手当を増額することも,一般的に昇給ととらえています。

率直な見解としては,スタッフ規模が大きくないクリニックにおいては,これまでの一般的な「昇給」を中心に考えることで大きな問題はないでしょう。実際,スタッフ間にあまり差をつけない一律の定期昇給を行っているクリニックも多く,このような昇給の意味合いはベースアップに近いものです。

〈今回の数字〉
賃上げ率2.5%

ベースアップ評価料にて2024年度目標とされる賃上げ率。基本給25万円の職員なら約6000円に当たり,一般的な定期昇給額と比較してもそこそこの賃上げ額になります。今回,賃上げ水準として示されたことで,今後の給与施策を考える上での1つの指標となりえます。

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