6病院団体は3月10日、2024年度診療報酬改定後の会員病院の経営状況に対する緊急調査結果を公表した。それによると、病床利用率こそ改定前より上昇したものの、医業利益率、経常利益率はともに悪化。医業利益の赤字病院割合が7割近くにまで増加したことがわかった。医業費用の増加が医業収益の増加を大きく上回ったことが主な原因。6団体は、「地域医療はもう崩壊寸前だ」と警鐘を鳴らし、物価・賃金の上昇に適切に対応した診療報酬の仕組みづくりの必要性を訴えた。
緊急調査は、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、日本慢性期医療協会、全国自治体病院協議会の会員病院を対象に実施。有効回答があった1731病院について、改定後の24年6〜11月の経営状況を前年同期と比較・分析した。
結果をみると、改定後6カ月間の病床利用率は平均80.6%となり、前年同期の79.6%から1.0ポイント上昇。100床当たりの24年(6〜11月の合計値、以下同じ)の医業収益は11億1953.0万円(前年同期比1.9%増)、医業費用は11億8645.1万円(2.6%増)だった。医業費用が医業収益を上回る伸びを示した結果、医業利益率は▲6.0%(前年同期▲5.2%)、経常利益率は▲3.3%(▲1.0%)といずれも赤字が拡大、診療報酬本体の引き上げがあったにも関わらず、前年同期から赤字幅がさらに拡大した。
赤字病院の割合も上昇し、24年における医業利益の赤字病院割合は69.0%(前年同期比4.2ポイント増)、経常利益の赤字病院割合は61.2%(10.4ポイント増)となった。
100床当たりの経費の前年同期比をみると、給与費:2.7%増、医薬品費:0.6%増、診療材料費:4.1%増、委託費:4.2%増、水道光熱費等:3.1%増、控除対象外消費税等負担額:2.4%増―と全ての項目で増加。増加率が医業収益の伸び(1.9%増)よりも小さかったのは、医薬品費だけだった。
調査結果について6病院団体は、「病院経営は危機的状況にあり、病院の報酬について、物価・賃金の上昇に適切に対応できる仕組みが必要だ」と訴え、具体策として社会保障予算に関する財政フレームを見直し、現行の「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という”シーリング”取り扱いを改めるよう要望した。