冠攣縮とは,心臓の表面を走行する心外膜冠動脈が一過性に異常に収縮した状態であり,この病態によって起こる狭心症が冠攣縮性狭心症である。近年,冠微小血管攣縮も注目されている。
夜間,早朝の安静時,早朝の軽労作時などに数分間の胸部絞扼感を訴えた場合や,胸痛だけでなく,顎,頸部,肩への放散痛などを伴う場合に冠攣縮性狭心症を疑う。冠攣縮性狭心症の診断は,自然発作の特徴的所見の確認(心電図所見,病歴,発作時の症状),冠攣縮非薬物誘発試験(過換気負荷試験,運動負荷試験など),冠攣縮薬物誘発試験(アセチルコリン,エルゴノビンなど)にて行う。
冠攣縮性狭心症の危険因子も動脈硬化性疾患とほぼ同様であり,特に喫煙のリスクが顕著であること,アルコール多飲による発作の誘発,ストレス,冬場の寒冷による発作の誘発も重要である。
冠攣縮性狭心症の治療薬は,狭心症発作時にこれを寛解する薬剤と,発作を予防する薬剤に分類される。前者に属する薬剤は速効性硝酸薬である。後者に属する薬剤は,長時間作用型硝酸薬,カルシウム拮抗薬,ニコランジル等が代表的なものである。常用量の1剤でコントロール不良であるときは,それを最大量まで増量させるか併用薬を加えることにより,発作の予防に努める。発作の予防の際,異なる系統のカルシウム拮抗薬に変更して,発作が予防できる症例もある(たとえば,ベンゾチアゼピン系からジヒドロピリジン系薬剤への変更など)。高度な器質的狭窄を伴う症例にはβ遮断薬を併用するが,当薬剤の単独投与は冠攣縮を誘発する可能性があるため行わない。
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