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接種の積極的勧奨「差し控え」継続へ - 副反応調査も「現時点では科学的知見不足」 [HPVワクチン副反応問題]

No.4770 (2015年09月26日発行) P.7

登録日: 2015-09-26

最終更新日: 2016-11-24

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(概要) 厚労省の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会は、接種勧奨が差し控えられているHPVワクチンを巡る議論を行い、「再開の是非を判断できない」とする結論をまとめた。

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨の是非を巡る議論が、1年8カ月ぶりに再開した。厚労省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(桃井眞里子部会長)は17日、2013年6月から「差し控え」が続いているHPVワクチン接種の積極的勧奨について、「現時点では科学的知見が不足している」ことから、「再開の是非を判断できない」との結論をまとめた。

●副反応2600人のうち186人「回復せず」
会合では、厚労省が副反応報告に関する追跡調査の結果を報告した。2009年12月の販売開始から2014年11月までに接種したのは約338万人。約2600人から副反応報告があり、健康状態が確認できた1739人のうち186人が「通学や通勤に支障を生じた期間がある」など未回復という状況が明らかとなった。追跡調査はすべての副反応疑い報告を対象とし、医師が調査票に記入した。
同部会は14年1月、ワクチン接種による副反応について、接種時の痛みなどをきっかけとして心身の反応が惹起され症状が慢性化したと結論づけたが、「心身の反応」という表現が混乱を招いたため、「機能性身体障害」に変更した経緯がある。
約2600例にわたる症状や程度、治療などの調査結果を踏まえ、桃井部会長は「全症例を見ても機能性身体障害とする検討会の見解を覆す新たな知見は得られなかった」と指摘。
しかし、現在も副反応に苦しむ患者が多数存在し、新たな病態が提唱されるなど要因解明の動きが活発化していることから、同部会では積極的勧奨再開には様々な仮説をエビデンスに基づき検討するなど議論を深める必要があるとの認識で一致。接種勧奨の差し控えは当面継続することとなった。

●因果関係不明でも治療への支援金
一方、現在副反応に苦しむ患者を救済する体制については整備が進む。8月には日本医師会と日本医学会が合同で、地域の医療機関などに向けた「診療の手引き」を作成。地域の中核医療機関となり、必要に応じて専門医を紹介する「協力医療機関」は47都道府県に70カ所整備された。
このほか、厚労省は症状とワクチンとの因果関係が認められない場合にも、治療への支援金を出す方針を決定。また、現在は定期接種で副反応が出た患者には入院、通院とも医療費が給付される一方、定期接種化前に接種した人は入院相当の場合に支給が限定されるなど、定期接種化前後で救済の手厚さに差があったが、今後は通院でも医療費を支給する方針を決めた。

【記者の眼】副反応検討部会は新しい知見が得られなかったとしたが、今回報告された調査では追跡漏れがあり、また診療現場では「もっと多いのでは」という声もある。病態のメカニズムなど実態把握には、接種者全員を対象とした第三者調査が必要なのではないか。(T)

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