日本化学療法学会は19日に都内でメディア向け勉強会を開き、世界で耐性菌が広がる状況を「深刻な問題」と危機感を示した。
同学会の松本哲哉理事(東京医大)は、近年、世界的に高度な耐性菌が増加していることや、耐性菌による感染症は死亡率が上昇することを説明。さらに、米国では、抗菌薬が効かないカルバペネム耐性腸内細菌を「悪夢の耐性菌」と名付けて警告していることを紹介し、今後、高度な多剤耐性菌が国内に持ち込まれることを懸念した。
舘田一博常務理事(東邦大)は、耐性菌・感染症診療で必要な対策として「抗菌薬の適正使用」「サーベイランスによる現状把握」「感染対策・制御の徹底」「創薬促進」の4つを挙げた。創薬については、抗菌薬は投薬期間が短いことから製薬企業にとって「儲からない」と指摘。その上で、「ビジネスの原理を変えるには政治・行政の支援が必要」と述べ、抗菌薬開発を促進する政策の必要性を訴えた。
(勉強会の詳細は12月の「まとめてみました」で紹介予定)