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結節性痒疹の治療オプション

No.4742 (2015年03月14日発行) P.51

水川良子 (杏林大学医学部皮膚科准教授)

登録日: 2015-03-14

最終更新日: 2016-11-09

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【Q】

結節性痒疹は治療に抵抗性を示す症例が少なくありません。結節性痒疹の治療オプション,コツについて杏林大学・水川良子先生のご教示をお願いします。
【質問者】
室田浩之:大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学講座准教授

【A】

痒疹はその名のごとく痒い皮疹の代名詞であり,かつ難治性皮膚疾患の代表です。掻破により悪化することは自明ですが,この掻破行動を制御することが実に難しく,年余にわたって煩う皮膚疾患です。日本皮膚科学会による「慢性痒疹診療ガイドライン」1)ではステロイド外用を第一選択とし,抗ヒスタミン薬内服の併用や液体窒素療法,ビタミンD3外用療法が勧められ,紫外線療法,時にステロイドやシクロスポリンの内服が選択肢として述べられています。
本稿では治療のオプションとして,保湿剤の使用とタクロリムスの使用を挙げたいと思います。
(1)保湿剤
保湿剤使用はガイドラインにも選択肢の1つとして明記されています。しかし,単独使用はもちろんのこと,併用療法においても厳密には外用しきれていない症例が多く経験されます。
私たちの教室では,保湿剤はフィンガーチップ法よりも多くの量を外用することを勧めています。皮疹部のみでなく無疹部も含めた全身を対象に,2日で1本程度(20~25g)を入浴直後に皮膚になじませ(すり込まない),軟膏の白色調が残るように厚めに外用するように指導しています。時に,この状態でのラップ療法を行うこともあります。保湿剤単独で軽快傾向を認める症例もありますが,難治性の痒疹部分にはピンポイント的にステロイド軟膏を重ねて塗布します。1年程度の時間は必要ですが,皮疹の消退が認められる点と再燃傾向が少ない点が長所と言えます(図1)。
(2)タクロリムス
タクロリムスの外用も,ステロイド外用が長期にわたった症例や保湿剤外用が十分にできない症例などでは,試みられるべき方法の1つです2)。効果を確認する目的で,1肢を目安に2g/日程度の外用を行い奏効した症例を経験しています(図2)。
結節性痒疹の発症機序が解明されていないこともあり,いずれの外用薬の作用機序も明確ではありません。しかし,多くの結節性痒疹患者にアトピー性皮膚炎などの基礎疾患や乾燥性の皮膚が存在することから,バリア機能の低下,発汗の低下,痒みに関連する神経線維の伸展など複合的な要素があり,外用薬はこれらに作用している可能性が推測されます。





【文献】


1) 佐藤貴浩, 他:日皮会誌. 2012;122(1):1-16.
2) Edmonds EV, et al:Br J Dermatol. 2004;150(6): 1216-7.

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