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高体温,意識障害で搬送された59歳,男性 [国立国際医療研究センター臨床カンファレンス(6)]

No.4700 (2014年05月24日発行) P.46

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-03

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  • 難易度★☆☆☆☆

    司 会:今日は救急科の症例です。よろしくお願いします。

    担当医:全国各地で最高気温が記録された日,8月某日夕刻の受診例です。仕事中に倒れ,当科に救急搬送されました(スライド1)。
    さっそくですが,循環の評価と,対応の仕方を,研修医の誰か言ってみてください。

    どのようなショックか

    会 場:ショック状態です。lactateも上昇して末梢循環不全があります。ラインをとって外液輸液を始めます。

    担当医:その通りですね。ショックの分類は?

    会 場:「循環血液減少性ショック」で,脱水によると考えます。

    担当医:それが第一ですが,同時並行で網羅的にも考えてください。感染症で敗血症を伴えば,「血液分布異常性ショック」も否定できません。エコーで壁運動は異常なく,正常心電図なので「心原性ショック」は否定的,心タンポナーデなし,頸静脈怒張・呼吸音減弱など緊張性気胸の所見もないので「閉塞性ショック」も否定的です。
    同僚と家族からの追加情報では,「普段通り働いており水分,食事も摂っていた。だんだん意識が朦朧とし,膝をついて倒れた」「普段と変わらない様子で出勤し,最近の体調不良もなかった」そうで,アレルギー歴・内服歴・既往歴や,基礎疾患なしに急に当日の病態となり,熱中症の経過に合うと考えました。
    problem listをまとめると,高体温,多臓器不全(肝障害,腎障害,CK上昇,トロポニンT上昇)・播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC),白血球数上昇,CRP 0.19mg/dL,下痢,細菌尿・膿尿,両側胸部浸潤影です(スライド2〜4)。
    熱中症として加療を始めましたが,それだけではないかもしれないと考えました。鑑別はどうでしょうか。


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