【Q】
創傷治癒については湿潤療法,細胞成長因子による治療,陰圧閉鎖療法など新しい治療法が実際に使用されるようになってきました。また,幹細胞を含む細胞治療も臨床応用されてきています。しかし,日常診療では種々の手術を行う患者さんに対し,一度できた瘢痕は消えることはない,と毎回説明しています。実際に,現状の縫合方法では1~数mm幅の瘢痕が残ってしまいます。【A】
表皮や真皮乳頭層までの深さの創傷は,瘢痕を残すことなく,跡形なく再生します。ところが,真皮網状層に至る創傷は,形成外科の手技を駆使しても,ある程度の傷跡は残ります。成熟瘢痕を正常皮膚と比較すると,色調の変化,真皮の線維化と皮膚付属器や皮溝・皮丘のパターン(きめ)の消失などがあります。