司 会:今日は膠原病科の入院例です。病歴(スライド1)をお願いします。
担当医:発熱が続くため転入院した75歳,男性です。
担当医:抗菌薬に反応せず,熱源不明のために紹介されました。来院日は平熱だったので,ステロイドの作用と考えました。翌日からまた発熱しています。
会 場:ステロイドが使用された理由はわかっていますか。
担当医:詳細は不明です。偽痛風の既往歴がありますが,紹介状には関節炎なしと記され,転院後の診察でも外傷以外の関節症状は認めませんでした(スライド2)。
血液検査(スライド3)は,赤沈亢進など日数の経った炎症反応と,既存の慢性腎不全と思われる所見です。感染巣検索のため,PET(positron emission tomography)/CTを撮り,傍椎体膿瘍を疑う所見を得て,MRIでも確認しました(スライド4)。
司 会:外傷巣からの感染という意味ではなく,打撲や圧迫骨折後に,別の部位に感染症を生じることは文献への記載もあるようです。以前のCCの救急科症例(本誌未収載)でも話題になりました。腸腰筋膿瘍などのほか,虫垂炎や肺炎もあるような気がします。転倒後の発熱という紹介状で,私も感染症を連想しました。この画像で一件落着にみえます。
担当医:膿瘍をすぐ穿刺できなかったため,グラム陽性球菌(methicillin-sensitive Staphylococcus aureus:MSSA)を想定し,6月1日からセファゾリン(CEZ,1g 12時間ごと)を開始しました。6月20日までの経過を言いますと,スライド5に示すように,当初は炎症反応が低下せず,アンピシリン/スルバクタム(ABPC/SBT,3g 12時間ごと)+バンコマイシン(VCM)も無効です。メロペネム(MEPM,1g 12時間ごと)に替えてから解熱し,CRPも明らかに下がりましたが,熱は再び出ています。
6月11日に整形外科でCTガイド下に傍椎体を穿刺してもらったところ,血性内容物が少量吸引されました。グラム染色で細菌は見えず,病理判定では少数の血球成分のみ,培養は一般細菌,結核とも陰性でした。
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