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プレセプシンによる敗血症の判定

No.4757 (2015年06月27日発行) P.64

遠藤重厚 (盛岡友愛病院顧問)

高橋 学 (岩手医科大学医学部救急医学講座)

登録日: 2015-06-27

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

敗血症に対する新しいマーカーとしてプレセプシンが使われています。
最近,先天性無脾症候群の患者が倦怠感のために受診し,発熱なし,白血球,CRPは正常値にもかかわらずプレセプシン値が500~800pg/mLと高値であったため,敗血症として治療しました。しかし,後日判明した血液培養の結果では,3セットとも陰性でした。患者へは起炎菌不明の敗血症として説明しましたが,偽陽性であった可能性はありますか。 (鹿児島県 T)

【A】

プレセプシンが敗血症の診断マーカーとして使用されるようになりました(文献1,2)。敗血症の重症度もよく反映します(文献3)。プレセプシン値は細菌感染症で上昇しますが,ウイルスおよび真菌単独感染症では上昇しないようです。
敗血症においては,プレセプシン値は白血球,CRP,IL-6,プロカルシトニンよりも24時間程度先行して上昇します。また,プレセプシン値は外傷,手術侵襲などの感染を合併せず,生体に多大な侵襲が加わったような病態では上昇しません。ステロイド投与の影響もなさそうです。ただ,維持透析患者,血管炎を有するような患者では,感染がなくても上昇することがあります。その機序は不明です。
これまでの経験から言うと,プレセプシン値が300~350pg/mLを超えている場合は感染症を疑い,500pg/mLを超えた場合は敗血症を疑って対処したほうがよいでしょう。敗血症における血液培養の陽性率は20%前後ですので,本症例においては敗血症と疑ってよいと思います。

【文献】


1) Yaegashi Y, et al:J Infect Chemother. 2005;11(5):234-8.
2) Shozushima T, et al:J Infect Chemother. 2011;17(6):764-9.
3) Endo S, et al:J Infect Chemother. 2014;20(1):30-4.

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