【Q】
【タイトル 小児・成人の環軸関節の可動域は?】
【A】
(1)環軸関節の前後方向への可動域
環軸関節の前後の動きをX線から判断する際には,頸椎を前屈位・中間位・後屈位として,それぞれの側面像を撮影します。正常な頸椎の場合,前屈位では環椎(C1)後弓と軸椎(C2)棘突起が上下方向に開いた像,後屈位では閉じた像を観察できます。
前後方向については,動きが判然としない場合もありますが,環椎前弓と軸椎歯突起の間隙(atlanto-dental interval:ADI)が前屈時にやや開きます(図1-a)。これが3mm以内であれば正常範囲内と判断します。
(2)小児および成人の環軸関節の不安定性に関する判断基準
前述の通り,ADIが不安定性の指標として用いられます。成人であれば頸椎の前後屈に伴うADIの変化は3mm以内です。
小児では骨化が不十分であり,X線像ではそれぞれ骨化部間の距離をみることになりますので,4mm以内が正常範囲です。図1 -bに示された脊柱管後壁線の乱れも参考になります。
不安定性の原因は外傷,炎症,先天異常など,多岐にわたりますので,最終的な判断は脊椎の専門医にゆだねるのがよいと思います。
▼ 日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野脊椎班:脊椎脊髄ハンドブック. 第2版. 徳橋泰明, 監. 三輪書店, 2010, p80-108.