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鼻中隔矯正術の適応と長期予後は?

No.4785 (2016年01月09日発行) P.59

坂本達則 (京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)

登録日: 2016-01-09

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

最近,鼻中隔切除が注目されているようですが,特にアレルギー性鼻炎を中心に適応や長期予後について教えて下さい。 (長崎県 N)

【A】

左右の鼻腔をわけている壁を鼻中隔と呼びます。鼻中隔は成人なら多少なりとも曲がっているのが普通です。この曲がりが鼻閉の原因になるほど強く,さらにご本人に手術の希望がある場合に,鼻中隔矯正術が適応となります。この場合,鼻中隔の手術を単独で行うのではなく,粘膜下下鼻甲介骨切除術などの手術を併用することもよくあります。また,慢性副鼻腔炎の手術など,ほかの鼻内視鏡手術を行うときに,鼻中隔が手術器具の出し入れの邪魔になる場合にも鼻中隔矯正術を行うことがあります。
鼻中隔矯正術は,鼻の穴の形を修正する手術ですので,長期的にみて鼻中隔が再び彎曲してくるということはあまり考えなくてよいと思います。ただし,鼻閉の原因は鼻の穴の形だけではありません。アレルギー性鼻炎による鼻粘膜の腫れは原因として重要ですが,鼻中隔矯正術ではアレルギー性鼻炎は治りません。アレルギー性鼻炎に代表されるような“ほかの原因”があるなら,その治療を併用することを強くお勧めします。

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