【Q】
分化癌は乳頭癌と濾胞癌に大別されます。後者の場合,大半が術前診断は不可能で,最初の手術は片葉切除になります。海外,特に欧米では術後濾胞癌と診断がつけば,後日残存甲状腺を切除する,すなわち補完全摘が一般に行われます。日本の場合は必ずしもそうはしていない施設のほうが多いように見受けられます。【A】
日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会は2010年に「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」を公開しました。その中に提示した診断と治療のアルゴリズムでは,微少浸潤型濾胞癌に対しては甲状腺補完全摘を行わずに経過観察する方針となっています。また,濾胞癌に対する補完全摘の適応として(CQ23),「広汎浸潤型であった場合やinsular componentなどの低分化成分を多く含む場合は,甲状腺補完全摘を行い,放射性ヨードを用いた遠隔転移巣の検索や放射性ヨード内用療法を行うことが勧められる」としています。