加齢黄斑変性は中途失明原因の第4位の疾患であり,超高齢社会の中,今後さらに患者数は増加していくと考えられる。現在,脈絡膜新生血管を伴う滲出型加齢黄斑変性に対しては,抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射によって視力の維持・改善が可能となった。
本疾患を確定診断するためには,蛍光眼底造影検査によって脈絡膜新生血管を証明する必要がある。しかし,蛍光眼底造影検査は侵襲的な検査であり,稀ではあるが重篤なアレルギー反応を生じる危険性もあるため,アレルギー体質,腎機能障害,重篤な全身疾患を有する患者では,施行できないこともある。
2015年に造影剤を使用せず,非侵襲的に網膜・脈絡膜の血管を描出できるOCT angiographyが登場した。現在のところ撮影範囲は黄斑部領域に限定されるものの,滲出型加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管の検出において有用性が高いと報告されており1),さらに,蛍光眼底造影検査では検出が困難であった早期の脈絡膜新生血管も明瞭に描出できたとの報告もある2)。また,OCT angiographyは非侵襲的検査であるため,外来受診のたびに繰り返し撮影可能である。
今後,OCT angiographyのさらなる性能向上により,蛍光眼底造影検査を施行しなくても滲出型加齢黄斑変性の診断が可能になることを期待している。
【文献】
1) Huang D, et al:Retina. 2015;35(11):2260-4.
2) Roisman L, et al:Ophthalmology. 2016;123(6): 1309-19.
【解説】
上甲武志 愛媛大学眼科准教授