【質問者】
菊池 守 佐賀大学医学部形成外科診療准教授
顔面神経麻痺の原因の多くを占めるベル麻痺やハント症候群は,適切な治療が行われれば,大部分の症例では後遺症なくほぼ完全に回復します。しかし,一部の重症例では回復が不十分となり,不可逆的な顔面表情筋の機能障害(後遺症)を残します。顔面神経麻痺というと「口がゆがむ」「瞼が閉じない」といった,表情筋が「動かない」症状と思われることが多いのですが,長期的に問題となるのは多くの場合,病的共同運動(「ウー」と口を尖らせたときに同時に瞼が閉じてしまう)や顔面拘縮(頰のあたりが引きつれる,ほうれい線が深くなる),などの「変に動く」「引きつれる」といった後遺症です。
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