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CONSORT声明

No.4693 (2014年04月05日発行) P.60

藤村昭夫 (自治医科大学臨床薬理学教授)

登録日: 2014-04-05

最終更新日: 2016-10-26

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現在,わが国も含めた先進国では,エビデンスに基づく医療(EBM)が盛んに行われているが,EBMの基になるエビデンスはランダム化比較試験(RCT)で得られることが多い。しかし,不適切な研究デザインによってエビデンスの質は大きな影響を受け,さらに,それに基づいて執筆された論文は非倫理的な医療行為を導く危険性がある。このような状況を考慮し,RCTに基づく論文の質を管理する基準としてCONSORT(consolidated standards for reporting trials)声明が出された。
2010年に出されたCONSORT声明(文献1)には,試験デザイン,アウトカム,症例数,ランダム化,統計学的手法,試験登録,資金提供者などの25項目に関するチェックリストがある。論文執筆者は,論文を投稿する時に各項目をチェックし,論文とともにチェックリストも併せて雑誌編集者に送らなければならない。その後,雑誌編集者と査読者はチェックリストを参考にして,論文の質を評価することになる。なお,国際一流誌の中には,チェックリストが添付されていない論文を受け付けないものもある。
このように,CONSORT声明はRCTによって得られるエビデンスの質を保つために非常に重要である。また,あらかじめCONSORT声明を考慮して試験計画書を作成すると,より質の高いRCTを実施することが可能となる。

【文献】


1) [www.consort-statement.org]

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