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原発性副甲状腺機能亢進症:進歩する低侵襲手術

No.4707 (2014年07月12日発行) P.54

徳光宏紀 (東京女子医科大学内分泌外科)

登録日: 2014-07-12

最終更新日: 2016-10-26

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原発性副甲状腺機能亢進症に対する外科治療として,現在では腫大腺のみを確認して摘出するfocused approachが主流となった。
1920年代に欧州で報告された手術成功第1例目が後に再発した教訓もあり,多腺病変の見逃しを防ぐため,欧米では手術中にすべての副甲状腺を確認ないし生検する両側頸部検索手術が推奨されてきた。1970年代には超音波検査やCT検査の登場で,術前に部位診断を行って腫大腺のある側のみを検索する片側頸部検索手術が提唱された。両側検索と片側検索の優劣は長い間議論されたが,2000年代に入って両者を比較,あるいは両側検索とfocused approachとを比較したランダム化試験の結果が報告された。
focused approachを可能にしたのは,多数例の経験による病態の理解と診断技術・技量の進歩である。腫大腺の大半は腺腫であり単腺病変であって,多腺病変は稀であることが明らかとなった。
部位診断では,第一に超音波検査技術の進歩と検者の技量向上が大きい。特にわが国では手術を担当する外科医自ら検査を行うため,診断能力は高い。第二に診断能に優れる副甲状腺シンチグラフィ(MIBIシンチ)が登場し,2010年からわが国においても保険適用となった。第三に手術中に副甲状腺ホルモンを測定し,外科治療による治癒を機能的に確認できるようになった。
これらの進歩により,focused approachでは手術を1時間前後で終えることが可能となった。

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