軟骨損傷に対して,日本国内では鏡視下手術に適した骨穿孔術や自家骨軟骨移植術が広く用いられている。病変部位のサイズや骨嚢胞の有無などによって適応を決定することが一般的であるが,その厳密なコンセンサスは,いまだ得られていない。
欧米と比して日本では,自家培養軟骨移植(文献1)の臨床応用に関して大きな遅れをとってきたが,近年自家培養軟骨移植の臨床応用が可能となり,軟骨損傷に対する先端治療は日本でも一般化しつつある(文献2)。しかし,自家培養軟骨移植の施行可能な施設は限られており,本格的な普及には時間を要することが予想される。
軟骨損傷に対する新たな治療法として,濃縮骨髄液や多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)を投与する治療法が欧米を中心に臨床応用されている。その良好な臨床成績が報告されており(文献3),今後期待の持てる治療法の1つである。
日本国内における軟骨損傷に対する治療法は,基礎研究の進捗と比して新規治療法の導入に関して後塵を拝してきた。しかし,日本国内においても自家培養軟骨移植の臨床応用が可能となり,今後の日本国内における新規治療法の開発・臨床応用が望まれる。
1)Britburg M, et al:N Engl J Med. 1994;331(14): 889-95.
2)Takazawa K, et al:J Orthop Sci. 2012;17(4): 413-24.
3)Fortier LA, et al:J Bone Joint Surg Am. 2010; 92(10):1927-37.